vol.11 YSP長崎の仲間たちと

雨だからこそ出会える 情緒豊かな風景もある


「冷たい〜」「寒い〜」と叫びながらも
走り続ける我々を誘う、雲仙温泉の湯煙。
もう待てません。もう迷いません。
ゆったりと温泉につかって、
さーて、もうひとっ走り行きますか!
 長崎は、やっぱり雨でした…。修学旅行以来の長崎を、せっかくバイクで走れるチャンスだというのに!
 でもまあ、バイクは屋根がないからこそバイク。大人になってしまうと、雨でズブ濡れになる機会なんてそうそうないことだし、そこがまた面白さだったりします。「こういう旅のほうが思い出に残る。うん、間違いない!」とムリヤリ頭を切り換えて、早朝のYSP長崎にお邪魔しました。
 そりゃあもちろん、雨よりも晴れているほうが気持ちいい。プロのレーシングライダーでさえ、「決勝はドライを希望します」なんてコメント、よくしてますよね。
 でも、朝一番で仲間たちの笑顔を見た瞬間に、「よーし、今日もバイクで楽しんじゃおうかな!?」と気持ちが変化するのが不思議です。平和祈念公園のすぐそばにあるYSP長崎を出発し、雲仙・普賢岳を目指しました。
 基本的なことですが、雨天時の走行では「急」のつく動作は禁物です。グリップの度合いはドライの時より格段に劣っているシチュエーションで急発進、急加速、急ブレーキ、急旋回などをすると…、どうなってしまうかは、想像がつきますよね?
 今回の仲間たちはベテラン揃いで、皆さん「オトナな走り」で雨の中を進みます。状況をしっかり判断しながらの落ち着きのあるライディングは、安心して見ていられました。
 それにしても、さすがに雨の中でもバイクを楽しもうというだけあって、ライディングのスキルアップに熱心な人たちばかり。
 同行してくれたYSPスタッフの金沢勝則さんは、その急先鋒。どうやらYSP長崎の切り込み隊長、なんてウワサもありますが…!?

金沢 僕は左コーナーはまぁまぁ得意なんですけど、右コーナーはしっくり来なくて。
難波 そういうもんです(笑)。右左で得手不得手を感じるのは、たいてい路面の傾き(カント)の具合によるんですよ。
 道路は水はけをよくするために、センターラインを頂点にしたカマボコ状になってます。左側通行の日本だと、右コーナーはちょっとした逆バンク状態になってるんですよ。同じ半径のコーナーに同じスピードで進入したとしても、逆バンクはやっぱり走りにくく感じます。
 あとは、右コーナーだと対向車が気になるから、アウトにはらんでしまいやすい。そういう視覚的・意識的な問題もあると思いますよ。
 もちろんライディングのクセもあるんですが…、金沢さんは、サーキットを走ったことがありますか?
金沢 いえ、残念ながらないです。
難波 本当に自分の得手不得手を知るなら、対向車が来なくて、路面のカントをちゃんと把握できるサーキットがオススメですよ! 不安要素がない中で思いっきり走れば、自分の本当のライディングと向き合うことができるんです。
金沢 公道をうまく走るためのヒントは、サーキットにあるのか…。
難波 うまいこと言いますね! ホントにその通りですよ。ぜひ金沢さんもサーキットで遊んでみてくださいね。

 


一瞬、雨がやみました。ヘルメットを脱いでも濡れないのはやっぱりイイ。トークも弾みます。

 雲仙・普賢岳に近付き、高度を上げるにつれて、気温がグッと下がります。うーむ、これはあまりにもハード…。というわけで、途中の雲仙温泉でひとっ風呂浴びることにしました。
 ただ、湯冷めする可能性もあるので、ちゃんと希望者を募ったのですが、全員迷わず挙手! 冷え切った体をほぐしてくれる温泉につかり、お昼ご飯をたらふく食べたら、すっかり眠くなりました。やっぱり温泉に入るなら、泊まりだなあ…。
 体はぽかぽか、お腹は満腹。思わずとろけるまったりムードの中、金子雅之さんと田嶋康幸さんから飛んできた質問には思わず目が覚めました。


金子 レーシングライダーの人たちって、タイヤの消耗をどんなふうに感じ取ってるんですか?
難波 オッ、これはスルドイですね。バイクやタイヤによって違うから簡単にこうとは言えないんですが、基本的にはゴム部分が薄くなるので、硬い感触になってきます。
 もちろんグリップ自体も下がって、動きが大きくなる。ヨタヨタ、ウネウネと動き出すんですよ。ちょうどエアが抜けちゃったような感じかな。

金子 そういう変化を察知できるんだから、すごいハイレベルな人たちなんでしょうね…。
難波 レーシングライダーのセンサーは確かに敏感だけど、皆さんも同じ挙動を感じているはずですよ。
 ライダーが感じる挙動は、加速G、減速G、コーナリングGと、すべてがGなんです。タイヤのグリップが下がると、タイヤが踏ん張ることで感じるGが、フッと逃げてしまう。アクセルワークやブレーキ操作でかかるはずの荷重が逃げたときに、「タイヤが滑ってるな」と感じるんですよね。
 例えば今日のように雨の中を走っているとき、皆さんは何となく不安ですよね? それは、路面のグリップが低いから、晴れている時と同じ操作に対して、Gが逃げていることを感じ取っているからなんですよ。
 不安感は、Gの逃げを感じているからこそ。つまりグリップ低下を察知してるんです。不安なときは、タイヤの消耗や路面状況の変化を疑って、決して無理しないことが大事なんですよ。
田嶋 レーシングライダーたちはタイヤが滑ってもスライドコントロールできるんですよね?
難波 そりゃあ仕事ですから(笑)。でも速く走るためには、どれだけマシンを前進させるかが勝負。スライドはGが横に逃げてる状態だから、できるだけしないほうがいいんですよ。見た目はハデでカッコいいけどね。
 いずれにしても公道ではそんなことは考えちゃダメ(笑)。もしスライドコントロールをマスターしたければ、小排気量のオフロードモデルで、ダートの上が一番勉強になりますよ。


 ライディングの探究に熱心な人にすすめたいのは、サーキットやオフロードコースなど、バイクが走るためだけに設定された場所で思いっきり走ること。そこで得たスキルは、公道でもすごく役に立つことばかりですよ!
 ところで雲仙・普賢岳は一体どこ? まさか雲仙だけに雲の中、なんて、せっかく長崎まで来てこんなオチ…?

 
バイクは乗って感じるのが一番ですが、人と話し合うのも大切。仲間たちとの語らいの中には、いつも新しい発見があります。

どうですか、このカラ元気! ちなみに僕たちの後ろには普賢岳が。もちろん皆さんにも見えてますよねッ!?

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雨ニモ負ケヌ
オールウェザーな装備


余裕のある走りにつながる万全な装備
 アウトドアがステージのバイクを、雨の多いニッポンで楽しもうというワケですから、常に雨に降られることを予想しておきたいものです。
 テストライダーの仕事をしていたときは「今日は雨だから勘弁してくれ」というわけにはいきませんでした。そんな経験からか、いつでも雨に備えた装備が習慣になっています。きちんとした装備は、安全性向上はもちろん、ライディングの際の安心感につながり、ひいては余裕のある走りにもつながります。
 ライディングは、急のつく動作は禁物。でも怖がるばかりでは、バイクとの一体感を損ないます。前後サスにしっかり仕事をさせる意識を持ちましょう。
     
 
ジャケットとブーツはゴアテックスを装備したもの。ジーンズは革素材だ。どれも雨具ではないが、多少の雨には負けないものばかり 今回の温泉入湯は撮影のためではなくて、ホントに寒かったから。こんなふうに思い切った休息も大切だ。  


やるべきことを、キッチリと!

 坂の街・長崎。街の中は狭い道も多く、歴史を感じさせてくれます。そして狭い坂道の多い土地では、何と言ってもバイクが便利! 意気込んでYSP長崎を訪れると、出迎えてくれたのは1階に設けられた、ドーンと広いサービスファクトリーでした。立山伸一社長にお話を伺いました。

難波 1階がサービス工場だけとは、思い切ったレイアウトですね。
立山 ウチはズバリ、サービスがメインと言ってもいいぐらいのショップなんです。
 バイクはどこでも買うことができますが、サービスはそうじゃない。整備や修理に関しては、絶対に他に負けない。やるべきことをしっかりとやる。そう心がけてます。

難波 きっちりとバイクを見てくれるショップだと、お客さんも安心して任せられますよね。
立山 はい、こちらとしてもやりがいがありますよ。
難波 ツーリングも頻繁に出かけているそうですね。
立山 月1回は行ってます。皆さんグルメな方たちばかりで、なおかつバイク好き。だから「走り&グルメ系」ツーリングがほとんどです。
難波 何か目的のあるツーリングなら、楽しみも広がりますよね。それがグルメ系ならなおさら! グルメと言えば、立山社長はちょっと変わった職歴をお持ちだそうで。
立山 ええ、ずっと前はピザ屋をやってましてね。でもどうしてもバイクが好きで、YSPを始めたんです。
難波 みんなの熱烈なリクエスト次第では、社長手作りのピザが食べられるかもしれませんよ!


取材協力ショップ
YSP長崎

長崎県長崎市岡町2の5 TEL:095-841-9188
営業時間/9:00〜20:00 定休日/毎週水曜日

http://www.ysp-nagasaki.com/
「表面上だけではなく、ていねいで、なおかつ提案力のある修理を心がけています。もちろん内容は事前にしっかりご説明しますので、安心してお任せください。スタッフは全員、バイク遊びが大好き! 皆さんのお越しをお待ちしています」(立山社長)

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