vol.40 YSP杉並南の仲間たちと


伊豆半島の濃密な自然の中を、仲間とともに駆ける。
走行中は、身も心も温かい。
バイクを停めてヘルメットを脱ぐと、
稜線の風の冷たさに、秋の気配を感じた。

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山よし海よし味覚よし 足湯もあって文句なし

 いきなりだが、「伊豆はいい!」と断言したい。山深く海は澄み、空青く小鳥さえずる伊豆半島に足を踏み入れると、シールドを上げて大きく深呼吸したくなる。約1500平方kmの半島全体の空気に、フレッシュな酸素がたっぷりと詰まっているのだ。
 東京・高井戸、国道20号線沿いにあるYSP杉並からは、環八を利用し東名高速へ突撃する。東京料金所から伊豆の玄関・沼津ICまでは100km足らずだ。今回の参加者中2名がFJR1300オーナー。1日1000km走行も辞さないツワモノたちには、痛くも痒くもない距離だったようだ。
 三島の市街地を抜け、伊豆中央道、修善寺道路と有料道路を2つ経由すると、いよいよ交通量が激減する。特に西伊豆方面は交通量が少ない。戸田方面に向かう県道18号線に入ると、7名のライダーたちは水を得た魚のようにワインディングロードを舞う。
 しかし、驚くのはまだ早い。戸田峠からは西伊豆スカイラインに入るのだが、料金所さえサッパリ撤去の全力無料開放っぷりなのである。だが! まだ驚いてほしくない。さらなる隠し球として、仁科峠に向かう尾根づたいの県道西天城高原線は、欧州山岳地帯級のド美しい景色の中を進むのだ。
 道の東側に相模湾、西側には駿河湾の「両手に海」状態に興奮しつつ、仁科峠先の駐車場にバイクを停める。標高約750m。眼下に宇久須港を望み、山の斜面を駆け上ってくる涼風が心地いい。快適走行に絶景とくれば、参加者の皆さんの目尻もデロンと下がる。難波さんも「伊豆って思ってたよりもアクセスしやすいんだね」と満足げだ。そしてついに全員が「伊豆はいい!」と言いかけた…が、いいやまだまだ! 「伊豆はこれから」なのだ。
 県道410号線をうねうねと急降下すると、宇久須に突き当たる。そこから海沿いをゆく国道136号線を南下し、松崎へと向かう。山を下りたら海。この分かりやすさがいい。
 断崖絶壁のワイルドな海岸風景を縫うように走る道を行けば、ほどなく松崎に到着する。YSP杉並南から約230km。はるばる松崎を訪れた我々が向かったのは、回転寿司屋であった。
 見所満載・松崎の詳細は次ページを参照いただくとして、さらに雲見まで足を伸ばし全行程(の、半分)を終えた頃には夕闇が迫りつつあった。我々は今、西伊豆最奥部の雲見にいて、午後4時半を回っている…。
 帰路を急ぐ我々に救いの手を差し伸べてくれたのは、カーナビ&無線完全装備のFJR軍団だった。旅慣れた彼らに道を任せたところ、確かに道には迷わなかった。が、松崎からのルートとして選んだのは延々と続く心細〜い県道59号線。「海沿いの国道より絶対早いから」と言う彼らの言葉を信じるよりほかないが、うっそうとした杉林をうねうねと上り続けるスパルタンさに、難波さんも「XJR1300だから楽しめるけどね〜。スーパースポーツじゃ立ち入る気もしないよ」と苦笑いするばかりであった。
 濃霧の箱根ターンパイク、東名上り線の渋滞というオマケつきで、ショップに帰り着いたのは午後10時過ぎ。イヤというほどバイクに乗った1日だったが、難波さんは「もっと走れたんじゃない?」とケロリ。さすがの伊豆も、難波さんの敵ではなかった。

 
アスファルトから目を離すと
空と海の広さに気付いた


西伊豆・仁科峠でひとしきりコーナーに遊び、松崎を経由してから雲見まで足を伸ばした。富士山の眺望でも知られる海岸は、夏は海水浴場として賑わうが、この季節は静寂に包まれ、風情ある小さな漁港に様変わりする。時は移ろい、空はすっかり秋模様。

1. 重要文化財 岩科学校
2. なまこ壁 近藤邸
ロマンの里、
西伊豆・松崎に遊ぶ。
3. 回転寿司 ととや
1. 重要文化財 岩科学校
明治13年に完成した伊豆地区最古の小学校。昭和50年に重要文化財に指定され、平成4年、2年の歳月をかけた復元が完了した。なまこ壁と洋風様式が混在した建物は、建築史の貴重な遺産とされている。(松崎町岩科北側442/電話:0558-42-2675)
2. なまこ壁 近藤邸
松崎の蔵や旧家に残されているなまこ壁は、平らな瓦を斜めに貼り付け、継ぎ目には蒲鉾状に漆喰を塗ったもの。防火、保温、防湿が目的だった。近藤邸は「なまこ壁通り」入口に建つかつての薬問屋だ。(松崎町松崎/電話:0558-42-0745/松崎町観光協会)
3. 回転寿司 ととや
駿河湾で獲れる新鮮な地魚を、毎日市場から取り寄せる。名産の金目鯛を始め、尾赤アジ、タカベ、イシダイなど、珍しい寿司ネタが豊富で、飽きることがない。回転寿司なので価格もリーズナブルだ。(松崎町江奈270の1/電話:0558-42-3636)

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攻めろ!!
B Spot
要するに、クジラの骨。
賀茂郡松崎町
雲見くじら館
B 級度
★★☆☆☆

西伊豆の幹線道路、国道136号線の雲見温泉入口にひっそり佇む「雲見くじら館」。気持ちいいコーナーの途中にあるため、健全なライダーならあっさり通過し兼ねない立地である。内部には、世界的にも貴重なセミクジラの骨格標本がズドーンと展示されており、その巨大さについ感動してしまう。展示物を一通り眺め脱力気味に階下に降りると、なんと無料でトコロテンが振る舞われる。これがまた、無料の割にやけにうまい! しまいには足湯まであって至れり尽くせりだ。たかがクジラ、されどクジラ…。
DATA
くじら館
住所:〒410-3615 静岡県賀茂郡松崎町雲見387
電話:0558-45-0844
休館日:水曜日
開館時間:8:00〜17:00
入館料:300円
URL:http://www.d2.dion.ne.jp/^kumomi/

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5. Person in the
YSP
バイクは一生治らない「健全な病」
YSP杉並南
早瀬 昭二
マネージャー

 YSP杉並南のウェブサイトに、早瀬昭二マネージャーのバイク原初体験について書かれたコラムがある。
 小学校低学年の頃、テレビでポケバイが走る姿を見た早瀬さん。
「すっげー、何だこれ」
 それ以降、本屋に入り浸ってはバイク雑誌を読みあさり、年齢をごまかして免許が取れないかと拙い策をめぐらせたりもした。
 '82年、中学1年の早瀬さんは、初めて観戦したレースで劇的な経験をする。その年の鈴鹿8耐は、台風に見舞われ6時間に短縮される荒れた展開の中、日本人ライダーのペアが初めて表彰台の頂点に立ったのだ。
 歴史的な瞬間を、興奮のるつぼと化した鈴鹿サーキットで体験した早瀬さんは、完全にバイクに取り憑かれた。その時の感動が、そのままYSPスタッフとしての現在につながっている。
「バイクって、一生治らない病だと思うんです」と早瀬さん。「ただし、いい病ですよ。ぜひ多くの人に伝染してほしいと思っているんです(笑)」
 バイクは1人で健全に楽しめる趣味だ、と早瀬さんは考えている。
「例えば、クルマで1週間の1人旅に出たら、『どうしちゃったの?』と心配される。でもバイクの旅はどんなに長くても『いいなぁ』とうらやましがられるでしょう。クルマとバイクはまったく性格の違う乗り物なんですよ」
 雨が降れば濡れる。走っていないと倒れる。バイクに乗る時は、常に気を張っている必要がある。それだけに、クルマや電車やバスでは決して味わえない、爽快な緊張感がある。
「この愉快さは、一度味わったらなかなか抜け出せません」
バイクの伝道者として、今日もお客さんの来訪を待っている。


取材協力ショップ
YSP
杉並南
東京都杉並区下高井戸1の18の19 TEL:03-3321-0555
営業時間/11:00〜20:00(月曜のみ〜18:00) 定休日/年中無休

「『かわいい相棒』であるバイクを安心してお任せいただけるよう、最高峰のツールを使って整備しています。最高品質のご満足を提供する当店に、ぜひ遊びにおいでください」(早瀬マネージャー)

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