vol.41 YSP八王子の仲間たちと


都市を離れてぐるりと回る周遊コースは、
秋の気配に満ちている。
前日までの台風は足早に関東地方を駆け抜け、
抜けるような青空と爽やかな涼風を残していった。

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走って食べて語らって 秋の奥多摩路は理想郷

 首都圏から放射する高速道路を走ると、いつも「脱出」という言葉が思い浮かぶ。日常、都市、業務、雑踏。さまざまなものを脱ぎ捨てていく、独特の解放感がたまらなく心地いい。
 中央自動車道はその最たるものだ。YSP八王子を出発し、八王子ICから中央自動車道に乗ると、すぐに秋色深まる山々を縫い始める。都会とは、空気の透明感が違う。特に取材前日に足早な台風が駆け抜けた直後とあって、パリッと澄んだ空気の中を突き進むと、それだけで気分が高揚する。
 今回は特に「非日常的雰囲気」が濃厚である。うーむなぜだろう…。と、考えるまでもなかった。YSP八王子の仲間たち6名のうち、ワンピース/セパレートを含めレザースーツ着用者が5名もいたのである。しかもただ1人レザースーツではなかった紅一点・高橋忍さんもバッチリと革パン/革ジャケットでキメている。すなわちレザーウエア着用率100%!
 これには難波さんも「すごいね」と驚きつつ、「バイクに乗る=レザースーツ。僕はいいと思うな。寒さや暑さへの対応という点では厳しい面があるけど、ライディングに最適なポジションが取れるし、バタつきがないから意外と疲れにくいんだよね。手入れ次第で長持ちするし、オススメですよ。」すると田中博さんが、「ドイツ・ミュンヘンショーに行った時、ツナギで来たライダーのための着替えスペースが用意されていたのにはビックリしました」と経験談を語ってくれた。
「うらやましい話だね。そういうバイク文化を創っていくのが、僕たちの世代の役目。バイクに乗ることで得られる満足感、そして素晴らしさを伝えていきたいな」と、志を新たにした難波さん。燃え上がる情熱にお腹が空いたのか、朝一番に訪れた勝沼のぶどう園では好物のマスカット・ベリーAを食べに食べまくった。その後、国道411号線を進んで柳沢峠で休憩した時、若干青ざめつつお腹を押さえていたのは、誰あろう難波さんであった。「ちょっと…」と言い残して姿を消した約10分。いったいどこで何をしていたのか。謎である。
 スッキリ顔の難波さんとともに、一行は進む。行楽シーズンの晴れた日曜日だけあって、東京奥部の山間を行く国道411号線も交通量が多い。三頭山荘で昼食を取るために奥多摩周遊道路を通過したが、サンデードライバーに混じって激しくワインディングを攻め立てるバイクの姿が目立った。「トライするならサーキット。彼らもサーキットに足を運んでくれたら」と難波さん。実際、1台のバイクがガードレールに衝突する事故が発生していた。
「公道はあくまでも公道。スポーツ走行するなら、それにふさわしいサーキットという場があるのに。」ツナギ姿の仲間たちとともに青梅市内で昭和の香り満開の博物館を巡り、バカボンのパパ像の前でほくほくのコロッケをパクつきながら、少しマジメにそう考える難波さんなのだ。

 
秋色に彩られた麗しき山々
凛とした空気を全身に感じる

前日は足早な台風。路面は一部、濡れた落ち葉に覆われており、注意しながらの走行となった。それでも、澄んだ空気を切り裂いてのライディングは心が躍る。


国道411号線の塩山から柳沢峠までの間は、かつて狭く曲がりくねった難所だった。道路の改修工事が進んだ今は、ところどころで富士山を望むダイナミックな景観が楽しめる良路へと姿を変えつつある。昼食のため通過した奥多摩周遊道路は、行楽日和の日曜日とあって交通量が多かった。紅葉の季節、峠道は余裕あるペースで楽しみたい。

ツナギ姿で何でもできる それが正統派ライダーの証
1. ぶどう狩り 三沢園
今回のツーリングで朝一番に用意したイベントがぶどう狩り。「朝食もそこそこにぶどうって、どうなの?」という不安は大きかったが、三沢園の自称看板娘・三沢ゆかりさん(前列左)のテンションの高さに、一同半ば強引にぶどうを満喫した。もぎ取りに燃えるもよし、品種による味の違いに唸るもよし、楽しみ方の幅も広い。11月いっぱいはぶどう狩りが可能だそう。
場所によっては、小型リフトに乗ってぶどうを狩ることも可能だ。乗り物&メカ好きのライダーにはたまらない趣向と言えよう。 DATA
三沢園
住所:山梨県甲州市勝沼町上岩崎四ツ角
電話:0553-44-1731
営業時間:7:00〜18:00
甲州、甲斐路、ベリーAなど豊富な品種が楽しめる。濃厚ジュースもお土産に最適だが、パニアが必須か。

2. 山菜づくし 三頭山荘
「こ、これは!?」「うおっ!」「うっ」などのうめき声が響いた。山菜22品膳(2730円)は、自家製山菜が豪勢に供されるオススメ料理だ。築400年という兜屋根の建物だけでも十分見応えがあるのに、今自分が何を食べているのかよく分からないというスリルまで楽しめる。今回は難波さん含め数名が完食。つまり確実に旨いのだ!
マタタビの実、ユリの実、イモのずいき、ギボシ、ノビル…。教わるがままに書いてはみたが、どれがどれかは判別不能だ。 三頭山荘には宿泊施設も完備。「東京で一番高い所にある」という露天風呂も。 「今、私が食べているのはいったい何ですか?」。素朴な疑問から始まる濃密なコミュニケーションも、また一興である。
DATA 三頭山荘
住所:東京都西多摩郡檜原村数馬2603 電話:042-598-6138 URL:http://www.mitou-sansou.com

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攻めろ!!
B Spot
かなりキてます。
東京都青梅市
おうめまるごと博物館
B 級度
★★★☆☆

青梅駅周辺に漂う昭和の香りにつられて歩みを進めると、いつしか滑らかに昭和系博物館に足を踏み入れている。…というぐらい、自然にハマッてしまう罠。それが青梅赤塚不二夫会館、昭和レトロ商品博物館、昭和幻燈館だ。つい700円の3館共通割引券を購入し、意外と各種展示物に盛り上がっている自分に気付く。これはもはや、昭和生まれの哀しき性と言わざるをえまい。
赤塚不二夫の天才性を理解するために、こうしたアトラクションには積極参加すべきだ。
DATA
青梅赤塚不二夫会館/
昭和レトロ商品博物館/
昭和幻燈館

住所:(3館とも)東京都青梅市住江町(JR青梅線・青梅駅そば)
定休日:(3館とも)月曜(祝日の場合は火曜)
問い合わせ先:青梅観光案内所
(電話:0428-20-0011)
あやしさ炸裂だが、仲間となら入れてしまうところが危険だ。昭和スターブロマイド売り場が意外とヒット。 なぜコロッケかって? 隣にコロッケ屋さんがあったから。それでいいのだ!

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5. Person in the
YSP
仲間たちとともに歩んでいきたい
YSP八王子
高橋 卓也
店長
(下写真・後列中央)

 YSP八王子の高橋卓也店長は、中学生の時にYSR50でミニバイクレースを始めた。それ以降、TZR250、RZV500、そしてYZF-R1など「走り系」のヤマハ車を乗り継いできた。でも、走り一辺倒ではなかったと言う。「バイクを走らせる喜びに、速い、遅いは関係ないと思うんです。いろんな人とつながりができるのがバイクの魅力。レースをしていても、ツーリング先のサービスエリアでも、ちょっとしたことから会話が始まって、仲良くなれる。そういうライダーならでは感覚が楽しいんです」
 2、3ヶ月に1度、ショップとしてツーリングを開催している。長距離をひたすら走るというよりは、200〜250kmの無理のない距離を設定し、途中の休憩を多くして交流の時間を大切にしている。
「途中の景色について話したり、『あそこにサルがいたよね!』なんて他愛もないことを語り合えるのは、仲間がいるからこそ。ソロツーリングの気ままさもいいけど、仲間がいれば同じ出来事も倍以上に楽しいんじゃないかな」
 店長になって1年半。日々の業務に追われて、プライベートでバイクに乗る時間をなかなか作れないのが、高橋店長の悩みのタネだ。「私自身、今も変わらずバイクが好きですから、乗れないのは本当にツラいんですよ」と苦笑いする。
 しかし「ボルト1本の締め方から伝えていかなければならないことがある」と、若いスタッフたちの先導役として、自由な雰囲気の中、ともに語り合いながら独自の店作りをめざしている。
 その姿は、ツーリングで語り合う姿とも重なる。YSP八王子のスタッフ同士も、バイクを軸にして強く結びついた「仲間」なのだ。


取材協力ショップ
YSP
八王子
東京都八王子市高倉町14の6 TEL:042-648-0819
営業時間/10:00〜19:00 定休日/火曜日

「ボルトを締める。ギボシを作る。細かい作業も手を抜かないことが、愛車の2年後、3年後の調子の差に現れます。正確でていねいな作業を心がけています」(高橋店長)

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