vol.43 YSP長岡の仲間たちと


下見は完璧だったのに――と、落ち込む取材スタッフ。
しかし臨機応変軽快パワフルな仲間たちは悪天候にもメゲないのだった。
実録 TOURING CASUALLY
行き当たりバッタリツーリング

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日本三景のひとつ、天橋立に行こう!

 思い通りにいかないのが人生とツーリングである。しかし、だからこそ面白いとも言える。
「今日もバイクで」のような取材ツーリングでは、撮影ポイントや時間配分をあらかじめ把握しておきたいなどの事情から、事前に下見をするのが常である。今回は11月17日(土)にYSP長岡にお邪魔してから、難波恭司さんおよび取材スタッフの総勢4人で下見に出かけた。
 ツーリングの目的地として我々が選んだのは、天橋立であった。何しろ江戸時代から日本三景のひとつとされており、国の特別名勝、および日本の白浜青松百選などにも指定されているのである。何だかよく分からないが、国の指定を受けているのはスゴイ。これは行くしかあるまい。
 途中のルーティングや撮影ポイント、休憩場所などを考え、何か所かに立ち寄りながら日本海側に抜け、天橋立に行ってみた。正直、到着前は「日本三景ったって、それほどでもないんじゃないの?」と若干タカをくくり気味だった我々であったが、実は皆それなりに感動屋でもあり、実際に長さ3km以上に及ぶ砂州を目の当たりにすると、結構盛り上がる。よし、ツーリング本番でもここは必須ポイントだ!
 諸々が決定したところで日没を迎え、下見は終了。スタッフ一同、充実感に満たされるのであった。翌日、その下見がまったくのムダになってしまうことも知らずに……。

天橋立がダメでも淡路島があるさ!

 怪しげな天気予報を跳ねのけ、11月18日(日)、ツーリング当日朝のYSP長岡周辺はまずまずの天候であった。さっそく出発し、京都縦貫自動車道で一路北上する。しかし冬場の高速移動は体を冷やす。終点の丹波で降り、「丹波の里やまがた屋」で暖を取りつつ休憩中に、異変は起きた。
「…なんか天橋立の方、雲行き怪しくないか?」と、誰かが気付いてしまったのである。そういえば雨もぽつりぽつりと落ちてきた。すかさず他の参加者が天橋立方面の知人に電話。「雪…とかいう話ですわ」。我々取材スタッフの計画はもろくも壊滅した。
 難波恭司さんは雨でも雪でも、もしかしたら槍や爆弾が降り注ぐ中でさえ平気な顔でバイクに乗るような人だから、心配はない。しかし一般的に雨や雪や槍や爆弾が好きではないライダーの皆さんを引き連れ、どうしても撮影のために何度もUターンをお願いする場面も出てくる我々にとって、悪天候は大いに憂慮すべき事柄なのである。
 だが、救われたのはYSP長岡の仲間たちが実にパワフルだったことだ。「こらあかん」と言いつつ、ある人は携帯で天気予想図を見て「南の方は大丈夫そうや」、ある人はすかさず地図を広げ、結果、かなりのスピードで「ほな淡路島にでも行きましょか」という結論に達した。「あ、淡路島…ですか?」。180度方向が違う新・目的地に唖然とする我々取材スタッフをよそに、何とも軽やかなのである。
 その勢いのまま、本当に淡路島まで行ってしまったYSP長岡の面々と難波さん。「バイク乗りは、肉体的にも精神的にも若い」という事実を改めて証明したのであった。

2. 天橋立
天橋立ビューランドのリフトで文珠山頂上へ。南側から天橋立を望む。股のぞきに挑戦した取材スタッフ、「逆さまに見えただけかな…」
1. 加悦SL広場
下見の途中で、国道176号線沿いにある加悦(かや)SL広場に立ち寄った。SLを6輌展示しているなど、なかなか本格的だ。「明日はみんなでワイワイと」という目論みだったのだが。

DATA
 加悦SL広場
〒629-2422
京都府与謝郡与謝野町字滝941の2
電話:0772-42-3186
営業:10〜17時(11〜3月)500円
http://www.kyt-net.ne.jp/kayaslhiroba/
 

 

 

3. 丹波の里やまがた屋
ツーリング当日の朝。京都縦貫自動車道で冷えた体を暖めていると、行き先方向で降雪との情報が。地図を取り出すと瞬く間に新目的地決定! 実にパワフルなYSP長岡の仲間たちであった。

DATA 丹波の里やまがた屋
〒622-0214
京都府船井郡京丹波町丹波の里R9・R27角
電話:0771-82-1181 http://www.tanbanosato.co.jp/top1.html

行き先が「淡路島」と決まってしまえば話は早い。快適なワインディングの国道9号線を駆け抜けて、高速道路の入口をめざした。

高速道路を南下するうちに、予報通りに天候回復! 奇跡的な出来事に雨具を脱ぎ、晴れやかな気分で淡路島に向けてひた走る。
12年の歳月をかけて建設された、全長3911mを誇る世界最長の吊り橋、明石海峡大橋を渡る。路肩の金網越しに約96m下の海面が見え、バイクだとちょっと胸騒ぎ。日没から24時までのライトアップは、季節によって色が変わる。

SAに観覧車? そりゃ乗るでしょう。無計画の強みで本能の赴くままに乗車。海から吹きつける強風にグラグラ揺れるキャビン。約11分の絶景かつスリリングな空中散歩は600円の価値あり。
4. 淡路サービスエリア
ようやく到着した淡路島に、何と雲まで追いかけてきた。強風の中、SAを満喫。食事はSA近くの「道の駅あわじ2F・海峡楼」で。「地ダコのトローリ丼」(1100円)が人気だった。

DATA 淡路サービスエリア
神戸淡路鳴門自動車道神戸西ICより淡路島側へ20.1km
電話:0799-73-2000
観覧車営業:9:00〜21:00(600円)
http://www.awaji-sa.com

5. 北淡震災記念公園野島断層保存館
'95年1月17日の阪神・淡路大震災でできた断層や、被災した家などを保存。体験コーナーも。見るのもつらいが忘れることなく未来に生かすべき教訓。

DATA 北淡震災記念公園野島断層保存館
〒656-1736
兵庫県淡路市小倉177
電話:0799-82-3020
営業:9:00〜17:00(500円)
http://www.nojima-danso.co
 
再び淡路海峡大橋から高速道路を乗り継ぎ、YSP長岡に帰還。充実の行き当たりバッタリツーリングが成就したのだった。

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Person in the
YSP
ホンマにバイクが好きやから
YSP長岡
森 正己
社長

 抜群の笑顔で、相手の心をとろけさせる。本人は何も意識していない、子供のような無邪気な笑いだ。森正己社長を中心に、今日もYSP長岡は屈託のない笑顔でいっぱいだ。
「体全部を使ってライディングするでしょう。バイクは、『自分で運転してる』って感覚が、ごっつある。面白いし、好きやで」と森社長は言う。自分が心から好きなものを商売にしている人ならではの幸福感が、笑顔の源になっているのだ。
「な? ええ笑顔やろ。これが持ち味なんや。お客さま相手の商売やから、人に好かれんことにはどうにもならん。一度でも来てもろたお客さまを大事にせんとな」
 何よりもバイクが、そしてライダーが好きだと言う森社長。かつての「よき時代」を懐かしく思う。
「昔は気さくに話しておればよかったけどな。バイクを真ん中にして、店員もお客さまも関係なく、ただのバイク好き同士として、もっともっと盛り上がったもんや。店にも『邪魔や!』っていうぐらい仰山お客さまがおってな。学校も行かんと店に入り浸って、しまいにはウチのスタッフになったのもおる。どこもかしこも、そんなんばっかやった」
 時代は変わる。あの頃と同じでいるわけにはいかない。
「今はあまり親しくしすぎてもあかん。微妙な距離感ちゅうもんがあるんや」と、少し寂しげな表情を見せる。
「でもな、お客さまのことを一番に考えることは変わらん。それに、バイクでお客さまが楽しむ姿も変わらん。いつかまた、ああいう時代が来るんとちゃうかなあ」。いつか訪れるその日のために、森社長は笑顔を絶やさない。


取材協力ショップ
YSP
長岡
京都府長岡京市今里北ノ町1の12 TEL:075-954-0389
営業時間/9:00〜19:00 定休日/木曜・祝祭日

「小さい店ですが、清潔さを心がけています。正確で丁寧な点検・修理や、お好みに合ったカスタムも自慢です。私自身、60歳の今もバリバリ現役のライダー。バイクライフを、そしてバイク談義をご一緒に楽しみましょう!」(森社長)

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