vol.46 YSP名古屋北の仲間たちと


岐阜の深山に守られ、昔情緒を色濃く残す郡上八幡。
「最大の魅力は踊りにあり!」
と断言するカメラマンに圧倒されながら、
雨も辞さずYSP名古屋北を出発する一行なのだった…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

恒例の雨を吹き飛ばした郡上おどりへの思い

 日本三大盆踊りのひとつ、郡上おどり。岐阜・郡上八幡に伝わる盆踊りで、7月中旬から9月上旬、延べ32夜にわたって踊り明かすという破格のスケール感と壮大さである。その歴史、400年。400×32=1万日以上も踊っているとは。盆踊りもここまで来ると、何か鬼気迫るものを感じる。
「これは一見もしくは一踊りの価値があるのではないか」「今は期間中ではないが、調査してみる必要があるのではないか」。
 色めきたつ取材スタッフ。しかし熱き思いとは裏腹に、YSP名古屋北の上空、午前7時半の空模様は、当企画ではかなりの高確率を誇る雨。しかもガッツリと土砂降りであった。
 それでもしっかりと時間通りに集まってくる仲間たち。磨き上げられた愛車はズブ濡れだ。レインウエアから大粒の雨を滴らせる仲間たちに、おそるおそる「通常、こういう天気でツーリングには…」と尋ねると、間髪入れず「行きません!」と気合いのこもった返事が返ってきた。
 だが、郡上おどりのパワーは、雨雲をも蹴散らす。気象庁HPで雨雲の動きを探りつつ、ショップで難波恭司さんを交えライディング談義で盛り上がっているうちに、雨足が少々弱まったような気がしないでもない。勇気を振り絞って出発し、東海北陸自動車道を北上すると、雨は弱まり雲は切れ、空は明るくなるばかり。彼方に望む郡上の山々が黄金色に輝いていた。

 

城下町に似合うしっとりした速度

1559年、室町時代後期に城下町としての歴史が始まった。以降、大火や大規模な農民一揆、明治維新など激動を経て今に至る町並みは、そこかしこで時の重みを感じさせてくれる。 環境省から「名水の町」として指定を受けている郡上八幡。水、自然、人が一体となった暮らしは、本当の豊かさを感じさせてくれる……はずなのに、忍者遊びに興じる人もいる。
町の中心を流れる清流、吉田川。ここ新橋からの飛び込みは、郡上八幡に生まれ育つ子供たちの通過儀礼であり、伝統文化だ。12m、ビル5階の高さ。欄干に立てば相当青ざめる。


 YSP名古屋北から高速道路を利用して約1時間で、かつて城下町として栄えた郡上八幡に到着する。昔ながらの風情をそこかしこに残した情緒あふれる町並みが、最新鋭ヤマハモーターサイクルFZ1に乗る難波さんを筆頭にした一行を出迎える。決して大きな町ではない。バイクを駐輪して歩いても楽しい。迷路のように入り組んだ細道のあちこちに見所が隠されていて、飽きない。何よりも常に水音が感じられ、清流の気配が耳に優しい。
 だが、今回のメインイベントは、あくまでも郡上おどり。特に高島カメラマンは、どうしてもモノにしたい絵があった。その成果が、前ページの扉写真である。わざわざ郡上八幡博覧館で踊りの実演閲覧およびレッスンを受けてから撮影に臨んだ、魂のワンカット。カメラマンとしては得心の1枚のようだが……。みんなが辛うじて笑顔なのは、郡上おどりの効能か。
 各テーブルで飛騨牛が乱れ飛ぶ昼食中の話題は、バイク一辺倒。YZF-R1SPに乗る柴田力さんの「50km/hぐらいのコーナーで、クリッピングポイントを越えたあたりでカクンと切れ込みを感じて、その後はらんでうまく曲がれないんですが」という質問には、「無理しないのが一番!」と明快な難波さん。「R1の想定速度は高いから、低速コーナーを曲がるのは実はすごく難しいんだ。でも不安定な挙動を強く示すなら、ライダーが何か不自然な操作をやってる可能性はあるね。あまりハンドルに力を入れすぎず、バイクなりに走らせればいいんだ。あ、タイヤの空気圧の確認もすごく大事だよモグモグ」。飛騨牛を頬ばりつつ説得力十分な難波さんであった。

新橋のたもとで創業70年を数える「新橋亭」で飛騨牛尽くしの昼食。左から朴葉味噌定食(1700円)、牛鍋定食(1800円)、篝火定食(2300円)。URL:http://sinbasitei.doshop.net/

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

GUIDE
山深く、歴史長く、謎深き郡上八幡
周囲にも味わい深い見所が点在する


東海北陸自動車道美並ICそば、日本まん真ん中センターに足を延ばした。かつては人口重心の中心地だったが、現在の重心位置は東方へ移動してしまったらしい(住所:郡上市美並村白山430の4)。 遠藤盛数が砦として築いたのが発端の郡上八幡城。天守閣からの眺望もさることながら、NHK大河ドラマ「巧妙が辻」の主人公、千代が残した人生訓も多く学べる。(住所:郡上市八幡町島谷520の1) 1日4回の郡上おどり実演が毎日楽しめる郡上博覧館。十曲の踊りすべてを知ることができる。実演を見ているだけで、つい踊り出してしまうのは日本人DNAの成せる業。(住所:郡上市八幡町殿町50)

高速道路で先を急ぐか
延々続く峠を楽しむか

 難波さんがふとつぶやいた。「岐阜って、なんか不思議だよね」。確かに郡上八幡とその周辺には、ワンダーな見所が満載である。深い山々の懐で、独自文化を色濃く残しているのだ。
 名古屋方面からのアクセスには東海北陸自動車道の利用が便利で、名古屋市内から約1時間で郡上八幡入りが可能。しかし国道41号線や国道256号線といった山間ワインディングも交通量・信号ともに少なく、走り応えは十分。時間もそれなりにかかるので、「思えば遠くへ来たもんだ」といった旅風情を味わうなら、往路を下道、復路を高速利用するのも一興だ。
 残念ながら紹介し切れなかったが、郡上の町は食品サンプルを地場産業としているほか、少し足を延ばせば鬼の首が祀られているという念興寺(郡上市和良町沢)、オオサンショウウオの生息地、点在する鍾乳洞群などが山盛りで待ち受けている。産業、歴史、生物、地学と幅広い好奇心を満たしてくれることだろう。
鍾乳洞が数多く見られる郡上八幡。我々が潜入したのは世界でも珍しい立体迷路型の美山鍾乳洞だ。階段を上り下りしつつ約30分の行程は、高度なB級風情が味わえる(住所:郡上市八幡町美山421) 古代人が天文観測をしていた痕跡が見られるという金山巨石郡。巨石の並び方や、刻み込まれた線などが太陽観測の証しだそう。言われてみればそう思えなくもないけれど(住所:下呂市金山町・金山湖そば)。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Person in the
YSP
「自分にちょうど」なバイクがある
YSP名古屋北
小林 宗作
店長

 若い頃は、とにかく速いバイクに乗りたかった。初代から最後期型まで、TZR250を乗り継いだ。
「もともとはクルマが好きだったんですけどね。でもTZRに乗り始めたら、クルマそっちのけになりました。2ストの弾けるようなエンジンフィーリングは快感でしたね。ツナギを着て峠に行ったり、ツーリングに行ったりして、結構走りましたよ」
 結婚して、生活環境が大きく変わる。それと同時に、バイクに対する考え方も変わった。
「飛ばさなくても楽しいバイクがある、ということに気付いたんです。TZRに乗っていたぐらいだから、YZF-R1やR6に興味はあります。でも、スーパースポーツのポテンシャルを楽しめるのは、サーキットしか考えられない。でも、僕の今の生活からしたら、サーキット走行はちょっと難しい。
 それに若いうちはエンジンパワーのことばかり気にしていたけど、バイクのサスや車体に奥深さがあるんですよね。そんな風に考えて見渡すと、公道で、僕にとって無理のない速度域でも、楽しく走れるバイクがあるんです」
 その筆頭が、FZ6だと言う。かつてTZRで飛ばしていた人のチョイスとしては、少し意外だ。
「このバイク、僕が公道を走らせていてもしっかりと接地感が感じられるんですよ。だから安心して寝かせられるし、スロットルを開けられる」
 凹凸の収束の仕方、旋回の感覚、ロードインフォメーションの伝わり方…。すべてが「ちょうどいい」のだと言う。
「今の僕の身の丈に合っているんですよ。もう背伸びしてバイクに乗る必要もないでしょうからね」
 お客さんにも、その人に「ちょうどいいバイク」を見立て、勧めている。


取材協力ショップ
YSP名古屋北

愛知県西春日井郡豊山町豊場栄56 TEL:0568-29-0505
営業時間/10:00〜20:00(日祝日〜19:00) 定休日/水曜日

「目が肥えた最近のお客さまの期待度を超えるような店作りと、真心を込めたていねいな接客を心がけています。イベントも盛り沢山ですので、ぜひお気軽に遊びに来てくださいね!」(小林店長)

戻る
Copyright(C) YSP Members Club. All rights reserved.