vol.49 YSP福島の仲間たちと


壮大な自然に抱かれて走る福島のツーリングは、
日本とは思えないスケールの景色の中を駆け抜ける気持ち良さ。
YSP福島の仲間たちとのバイク談義を楽しみながら、
1日をフルに味わい尽くした。

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時間を忘れて駆ける 美しき緑の地

 あまりの壮大さに、思わず言葉を失った。走っても走っても尽きることのないワインディングロードは、「オッ、ココいいねぇ!」「オオッ、コッチもいいねぇ!」「いや、ソッチの方が」と、見所満載である。次々に展開する景観は、日本のスケールに収まりきらない豪快さだ。
 ツーリングを前日に控え、猪苗代湖周辺を中心に下見すなわちロケハンをしている我々「今日バイ」取材班は、優柔不断で面白がり屋のため、こうも見所を連発されてしまうとなかなか前進できないという問題が発生する。しまいには難波恭司さんを含め全員がカメラを取り出しての撮影大会がおっ始まる勢いで、1歩進んで3歩下がるといった様相なのである。
 何においても断固として業務を優先する我々をして、観光客然とした行動を取らせてしまうとは…。恐ろしいまでの福島パワー。それほど美しい光景が連発するのだ。「うつくしま、ふくしま」は、福島県が総力を挙げてゴリ押しするダジャレだと思っていたがさにあらず。厳然たる事実だったのだ。
 猪苗代湖に沈む夕焼けを眺めているうちに、下見のため潜入しようと試みた野口英世記念館が惜しくも閉館時間を迎えたものの、夜の帳が降りてからも、我々のロケハンは続く。それは決して、午前中にお邪魔したYSP福島の居心地がとてもよく、ついつい長居してスケジュールが押せ押せになったから、ではない。

富士山同様のすり鉢状の火口を持つ吾妻小富士。こうして見るとただの砂山だが、福島市側から望むと富士山に似ている。磐梯吾妻スカイラインの中程に位置する。 偉大な科学者の足跡を、野口英世記念館で辿る。もちろん全員博士に敬意を表し、1000円札を掲げている(猪苗代町大字三ツ和字前田81/年中無休)
猪苗代湖畔の人気スポット、志田浜にて。「像ポージング」は、もはや当企画の定番だ(バイクの乗り入れは、土地所有者に許可を得ています)。

ライダーが若く見えるのは本当に楽しんでいるからだ

 気骨にあふれ頑固一徹、生真面目で情に厚いと言われる、福島県人の県民性。思い思いのヤマハ車に乗ってYSP福島に集まった仲間たちを見渡すと、寡黙ながら内に何かを秘めた様子に「うーむ、なるほど!」と思わされる。
 しかしひとたび走り出してしまえば、全員ただのバイク好き。日常を忘れ、猪苗代周辺の美しい光景の中、ひたすら楽しい時間を過ごすのであった。
 圧巻は、磐梯吾妻スカイラインの山岳地帯。ヨーロッパアルプスもかくやと思わせる山容は、シールド越しに大自然の壮大さを感じさせてくれる。途中「火山ガス注意」の看板に思わずスロットルを開けたくなるのも一興だ。
 スカイライン中間地点には300台収容台数を誇る有料駐車場があり、周囲の散策も可能。標高1600m、岩が転がり枯れ草が揺れるこの世のものとも思えない荒涼とした光景に、「浄土平とは古の人々もネーミング上手だなあ」と感動することだろう。
 こういったメジャーな観光地にバイクで乗り付けると、満面の笑顔を浮かべたオジサンに「お、これ何cc?」「何キロ出るの?」「オレも昔乗ってたんだよね」などと話しかけられる。その際はできるだけ明るく対応し、いかにバイクが楽しい乗り物かを力強く伝道していただきたいものである。
 道は果てなく続く。しかしツーリングは終わりを迎える。ひとしきり観光地を巡った後にYSP福島に帰着すると、ほどよい疲れと帰るべき日常生活が待っている。口元に笑顔を浮かべながら、去りがたく店先に集う仲間たち。
「ライダーは、みんな若いよね」という難波さんの言葉に、含蓄深さを感じる一瞬であった。


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GUIDE
走り応え&見応え十分! 福島の観光有料道路

日本離れした豪快な山岳ルート・磐梯吾妻スカイライン、随所にある展望台から猪苗代湖の景観が楽しめる磐梯山ゴールドライン、湖沼をつなぐ爽快な林間コース・磐梯吾妻レークラインの他、那須甲子有料道路、あぶくま高原道路と、福島の観光有料道路は見所満載で走り応え十分。HPでは道路状況も公開している。
福島県道路公社 電話:024-521-5530 URL:http://www.dorokosha-fukushima.or.jp/

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往年の名車XJ750E
ショートインプレ
懐かしいけど違和感はない
今もバイクとして楽しめる

 タイヤが2つ付いていれば何でも乗りたい難波さん。今回はYSP福島・菊田社長のXJ750Eに試乗させてもらった。25年以上前の往年の名車にまたがった瞬間、「このハンドルはいいね! 初期型RZと似ていて、すごく好きなんだ」と興奮気味。絞りと垂れ角がたまらないらしい。
「エンジンはパワフルとは言えないけど、4気筒ならではのメカニカル感が楽しめる。意外とスムーズで、振動もないよね。どの回転域でも唐突さがないから、ライダーへのアタリが柔らかいんだ。うん、今でも十分楽しめるね」
 19インチのフロントタイヤにも、「どしっとした安定感がありながら、重くはないんだ」と好感を持ったよう。
「最新のXJR1300のサスの方がよりしなやかで、路面追従性も上っている。それに比べるとXJ-Eは懐かしいハンドリングだけど、違和感はないね。今も楽しめるよ」
 そして「操作系を中心にしっかりメンテナンスされているから、年式を感じないんだ。バイクは手間をかけてかわいがりたいね」と付け加えた。

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Person in the
YSP
好きなことを仕事にできる幸福
YSP福島
菊田 洋一
社長


 エピソードに事欠かない人だ。高校生の時からモトクロスをしていたが、大ケガをして23歳で引退。昭和50年、25歳で渡米して放浪の旅を楽しんだ。帰国して測量やガス保安点検などの仕事をしたが、「オレの仕事じゃないな」とバイク屋を始めた。その10坪の店が、YSP福島の前身である。
 ある夏の日、その店先で上半身裸で水まきをしていた菊田社長を、クルマの中から見つめる女性がいた。互いに何となく目が合った。人づてに紹介されていたが、面識はなかった。でも目が合った瞬間、2人とも「あの人なのかな」と思った。その女性が、それから95日後に奥さんとなる洋子さんだ。「私は『洋一』で奥さんは『洋子』。何かあるんでしょうかね」と笑う。
 以降、連れ添って店を切り盛りしてきた。「大きいお腹でパンク修理をしたこともあるんですよ」と洋子さん。「でもね、私も免許を取ってツーリングに行ったりして、それはもう、楽しくやらせていただいてました」
 一方の菊田社長は「いくつになってもバイクは楽しい。結婚して、カミさんがいて、子供がいてっていうあれこれは、走ってる時はまったく関係ないからね」とアグレッシブにバイクで攻める。「先日、20年ぶりにサーキットでコケましたよ」と苦笑いするやんちゃぶりだ。そうやって底抜けに楽しんでいるからこそ、YSP福島にはいつも笑顔のお客さんたちがいる。
「お客さまに仲人を頼まれた時がありましてね。『ああ、そういうお付き合いができているんだな』とうれしくなりました」
 奥さんに支えられながら、好きなことを商売にしている菊地社長。その明るく前向きなモチベーションが、多くの人を惹きつけている。


取材協力ショップ
YSP福島

福島県福島市鳥谷野字扇田58の1 TEL:024-546-3116
営業時間/9:30〜19:00 定休日/毎週月曜日

「車両をご購入いただいたお客さまはもちろん、そうでなくても、ヤマハユーザーの駆け込み寺になれるよう、常に高品質なサービスを心がけています。サーキット走行から林道までイベントも多数開催していますよ。一緒に遊びましょう!」(菊田社長)

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