YSP
風道浪漫


第95回 東京都から伊香保方面へ

石段の温泉街に遊び
榛名山の麓 湖畔の道を走る

 

 今回は景勝、榛名の懐深くに風道(かざみち=ツーリング・ルート)を追う。実りの季節。頭を垂れた稲穂の折り重なる、黄金色の海を走り抜け、そして向かえた、静かに佇む碧の湖水。その水面に、赤く色づき始めた山々の景色が写る。薄雲の空の下、風は冷たさを増したが、榛名山の風情を満喫する旅となった。

湖水に映る色づき始めた榛名の冨士

 出発の前、朝の温泉街を散策してみた。昨夜には煌びやかな色を放っていただろう飲食店の電飾看板が、薄曇りの光りを浴び、その樹脂の白肌を鈍く光らせている。長い石段を上ったのだが、我が吐く息が白い。

 流れ出る源泉を眺め、早起きの観光客と挨拶を交わしつつ、駐車場に止めたFJR1300の元へと戻ってゆく。

 静かな温泉街に、FJRのエンジン音を残し、メンバーたちとの集合場所に向かう。約束の場所にてお茶などを飲みつつ、暫し待つ。

 しばらくすると山間にエンジンの重低音がこだまして、メンバーたちが集まってきた。“水沢うどん”をすすり、滑らかな喉ごしを楽しみながら、本日のプランを打ち合わせる。ともかくは榛名山周辺を巡ってみるということで、うどん屋をあとに、伊香保八景お称される景勝の地を目指す。

 さきほどの道を戻り、湯煙の上がる伊香保の温泉街を抜け、山中へと入っていく。午前中とあって、ややガスが残っているものの、なかなかのワインディングである。マスツーリングでなければ、少し攻めてみたくなるようなコーナーが続いている。

 そのライダーをそそる峠の道を抜けると、やがて榛名湖が見えてきた。火山の噴火によってできたというカルデラ湖の、その対岸に榛名富士が見えている。

 伊香保方面から、この湖に到着すると、湖面に見事な円錐形をなす榛名の富士がポッカリ浮かんでいるように見える。予想以上の美しい景色に、マシンを降りてしばし付近を散策。古より多くの歌人が詩に詠んだという景勝である。なるほど、山肌に赤みがさしはじめたこともあって、碧の湖面に映る富士の風情も中々である。

 湖畔を回り込み、『湖畔の宿』記念公園で、歌碑より聞こえてくる歌のメロディーなどを聞きながら、のんびりとした時間を過ごす。

 最後に榛名神社を訪れたが、参道がかなり険しい。立ち上がる岩々に、天へと伸びた大杉。見上げる風景が続く中、何とか山腹の境内へ。しかし思いのほか峻巌な道が続き、ようやく至る本堂。宗教的感動へのアプローチである。これで本堂が改修工事の最中でさえなければ…。

 

● 今回のツーリングコース

流して景色を楽しみたい榛名山周辺の道

YSP板橋中央をスタートし、関越自動車道を渋川伊香保ICで降り、15号線を経て『大澤屋』へと至った。大澤屋からは伊香保温泉の温泉街を抜け榛名湖を目指したが、途中の山中には思わず“攻めたくなる”ワインディングが続いている。山を下り榛名湖周辺で、その景色を楽しんだあとは、『湖畔の宿』記念公園や竹久夢二のアトリエなどの観光施設を巡り、榛名神社に参拝の後、『おぎのや』にて遅い昼食となった。帰路は上越、関越と高速を乗り継いだ。

 

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